Zapier、Make、n8n の課金単位はそれぞれ何を数えているか
自動化ツールを比較した記事は、たいてい月額と含まれる回数を表にして終わる。 その表を見ても、自分のワークフローでいくらかかるかは決まらない。 三社が数えている対象が、それぞれ別のものだからである。
三社が数えている単位
Zapier の課金単位はタスクである。 公式の料金ページでは「Zapier が処理を 1 つ完了するたびに 1 タスクが数えられる」と定義され、失敗したアクションは数えないと書かれている。 トリガーとポーリング、そして組み込みツール(Formatter、Paths、Filter、Delay、Looping、Digest、Tables など)はタスクを消費しない。 請求に効くのは、外部アプリに触るアクションの数だけである。
Make の課金単位はクレジットである。 2026 年に「オペレーション」から呼び名が変わったが、数え方の考え方は変わっていない。 公式ページの説明では、シナリオ内のモジュールの動作 1 つが 1 クレジットに当たる。 アプリや Webhook からのデータ読み取りも課金対象として挙げられているため、シナリオを起動するモジュールも数えられる。 数えないと明記されているのは Router とエラーハンドラ系のモジュール(Rollback、Break、Resume、Commit、Ignore)である。
n8n の課金単位は実行である。 公式ページには「ワークフロー全体の 1 回の実行であり、ステップが何個あっても、どれだけのデータを処理しても、1 実行である」と書かれている。
同じワークフローで計算する
トリガー 1 つとアクション 4 つのワークフローを、月に 1000 回動かすとする。
Zapier ではトリガーが無料なので、1 回あたり 4 タスク、月 4000 タスクになる。 Make ではトリガーもモジュールとして数えるので、1 回あたり 5 クレジット、月 5000 クレジットになる。 n8n ではステップ数を見ないので、月 1000 実行である。
同じ処理を組んで、請求の対象になる数量が 4 倍から 5 倍ずれる。
ステップ数が増えたときの伸び方
この差はステップを足すほど広がる。 Zapier と Make の請求はステップ数に比例して増えるのに対し、n8n の請求は実行回数にしか反応しないためである。 アクションを 4 個から 10 個に増やすと、Zapier は月 10000 タスク、Make は月 11000 クレジットになる。 n8n は月 1000 実行のままである。
繰り返し処理でも同じことが起きる。 n8n では 1000 件を 1 回の実行で処理しても 1 実行として数えられる。 Zapier ではループの制御そのものは無料だが、先の定義(処理を 1 つ完了するたびに 1 タスク)に従えば、ループの中のアクションは繰り返した回数だけ数えられることになる。
AI ステップとコードステップの数え方
ここまでの計算は、1 アクションが 1 タスクであることを前提にしている。 ただし Zapier の公式ページは、すべてのステップが同じ消費量だとは書いていない。
AI by Zapier のステップはモデルの階層によって消費量が変わり、Code by Zapier はプランに含まれる実行時間を超えた分が 30 秒単位で課金される。 MCP 経由のツール呼び出しも、通常のアクションと同じタスクの枠から引かれる。
Make の公式ページも、ほとんどのモジュールの動作が 1 クレジットだとしたうえで、高度な AI 機能はそれ以上を必要とする場合があると断っている。
AI を挟むワークフローでは、ステップの数を数えるだけでは消費量を見積もれない。
課金単位が設計の選択に与える影響
数え方の違いは、有利になるワークフローの形も変える。
Zapier では条件分岐とデータ整形が無料なので、分岐を細かく作っても請求は増えない。 一方で外部アプリを呼ぶ回数は直接効くため、複数の処理を 1 回のアクションにまとめる形が有利になる。
Make では画面に置いたモジュールの数がそのまま効く。 見積もりを立てやすい代わりに、モジュールを減らす方向に最適化することになる。
n8n ではステップ数が請求に影響しないので、ワークフローを読みやすく分割しても損をしない。 ただし実行回数は効くので、1 回の実行でまとめて処理する形が有利になる点は Zapier と共通している。
料金表の数字が古くなる速さ
三社とも、料金と含まれる回数を改定する。 Make が 2026 年に単位の呼び名を変えたように、数え方の説明そのものが変わることもある。
この記事に書いた定義と数値は、2026 年 9 月 11 日に各社の公式料金ページで確認したものである。 契約する前には、同じページを見直して確認する必要がある。