Obsidianの同期はどこまで無料で使えるか

・ 朝倉 凛

無料で使える範囲と同期の位置づけ

Obsidianはデスクトップとモバイルのアプリ本体を無料で配布している。 料金ページには「Free without limits」と記され、サインアップ不要で使い始められるとしている。 ダウンロードの案内には、Windows、macOS、Linuxに加え、iOSとAndroid向けの配布が並ぶ。 この前提だけでは端末間で自動の同期は起きないため、複数端末で同じノートを開きたい場合は別の手当てが要る。

プライバシーポリシーは、デスクトップとモバイルのアプリがデータを端末内に保存するとしている。 同じ文脈で、アプリは個人データやテレメトリを収集しないと説明されている。 つまりアプリ本体の利用はローカル完結が基本設計で、無料では公式の同期サービスは使えない。 同期を提供するのは別枠の有料アドオンだという立て付けになる。

料金表とポリシーが示す同期の仕組み

料金ページは、Obsidian Syncを月払い5米ドル、年払い換算で月額4米ドルの「ユーザーごと」課金と記している。 説明文には、端末間のノート同期、エンドツーエンド暗号化、バージョン履歴、共有ボルトでの共同編集、優先サポートが含まれるとしている。 この記述はアドオンの機能一覧であり、アプリ本体の無料配布とは別扱いだ。 Publishという別アドオンも掲載されているが、これはウェブ公開の機能で同期とは役割が異なる。

プライバシーポリシーは、Syncを使う場合に限ってデータをサーバーに保存するとしている。 その際のデータはエンドツーエンドで暗号化され、ファイル名を含むと説明されている。 さらに、SyncやPublishの購読が失効した場合はサーバー側のデータを1か月保持したのち完全削除するとしている。 利用者が自分で解約したときは即時削除すると明記され、各端末のローカルボルトは影響を受けないと整理されている。

無料で運ぶときに発生する責任の置き場

前節の一次資料を前提にすると、無料で複数端末に同じノートを置くには、利用者がファイルをどう運ぶかを自分で設計する必要がある。 アプリはローカル保存型なので、端末間で同じフォルダ構成を共有できれば内容は移動するが、その仕組みはアプリ外にある。 どの方法を選ぶにせよ、更新の衝突を避ける運用や、誤って上書きしたときの復元手段は、利用者側で確保する前提になる。 端末が離れている時間が長いと、変更が伝わるまでの遅延も想定しておく必要がある。

一方で、Obsidian Syncを使う場合は、暗号化やバージョン履歴などの挙動を公式の仕組みに委ねられる。 料金表はこの点を特徴として掲げており、履歴からの復元や共有ボルトでの共同編集を含むと説明している。 プライバシーポリシーの記述と突き合わせると、クラウドに残るデータの保持と削除の扱いも明確だ。 失効後にサーバー側のコピーが削除されても、ローカルのボルトが残る構造は、切り替え時のリスク整理に関係する。

無料運用の指針と有料に切り替える基準

無料のまま複数端末で使うなら、同時編集を避け、編集の前後で端末間の状態を確認する運用を置くと衝突を減らせる。 履歴の保存は自前のバックアップに頼る前提になるため、頻度と保存先を決めておくと復旧の見通しが立つ。 スマートフォン側では短時間での細切れ編集が増えやすいため、まとまった編集は一方の端末に寄せる判断も取りやすい。 共有を伴う用途では、無料のまま進めるよりも、共有ボルトを前提とした設計に切り替えたほうが全体の手戻りを抑えやすい。

有料アドオンに切り替える目安は三つある。 第一に、二台以上で常時編集し、衝突回避や復元の手当てが負担になっていると感じるときだ。 第二に、履歴からの復元を日常的に使いたいときで、料金表がうたうバージョン履歴機能をそのまま採り入れられる。 第三に、共有ボルトでの共同作業や優先サポートが必要になったときで、資料の説明どおりの機能束を求める場合に当てはまる。

一方で、切り替えない判断にも根拠がある。 単一端末で閉じた作業や、閲覧は多端末でも編集は一台に絞る運用では、無料のままでも構造は単純だ。 扱うデータの扱い方をきめ細かく制御したい用途でも、ローカル完結の利点は残る。 いずれにしても、プライバシーポリシーのとおりローカルのボルトは端末側に残るため、移行や解約の前に完全な手元コピーを確保しておくと安全だ。

出典

  1. Pricing — Obsidian — Obsidian.md (一次情報)
  2. Download — Obsidian — Obsidian.md (一次情報)
  3. Privacy Policy — Obsidian — Obsidian.md (一次情報)