業務で使うAIプラットフォームの違いを見分ける

・ 朝倉 凛

比較する対象と用語の前提を揃える

ここで扱うのは、業務システムにAI機能を組み込むためのクラウド基盤である。 OpenAI API、Google CloudのGeminiプラットフォーム、MicrosoftのAzure AI(Foundryを含む)、AWSの機械学習サービス群を対象にする。

各社は似た語を使うが、指している働きが同じとは限らない。 一次資料に書かれた語と文言を手がかりに、差分が生む前提を整理する。

本文では、モデル提供、エージェント、検索とベクトル類似、プロトタイピング支援、開発者向けの入出力経路に分けて観察する。 評価軸は機能の有無ではなく、どこまでを一社で抱える設計かに置く。

エージェントという語は、複数の手順や外部ツールを伴う推論の実行体を指す場合がある。 OpenAIのドキュメントにはAgentsとTools、GoogleにはAgent StudioやAgent Garden、Azureにはエージェントサービスの記述が見える。

4プラットフォームに書かれた機能を並べる

OpenAIのドキュメントはAPI中心で、Responses APIやDecisions API、Streaming、WebSocket、背景モードの記述がある。 モデルはTextとCode、Reasoning、Images、AudioとVoice、Realtimeが並ぶ。

Google CloudはGeminiプラットフォームを掲げ、最新のGeminiモデルとエージェント管理を単一環境で扱うとしている。 Agent Studioとノーコードのワークベンチ、モデルの評価と最適化、画像と動画の生成とカスタマイズが記されている。

ベクトル検索はGoogleの資料が具体的で、エンベディング生成とScaNNを用いた低レイテンシ検索に触れている。 BigQuery、AlloyDB、Spanner上で直接実行する前提が示されている。

Azureの資料はFoundryを軸に、AIアプリとエージェントの構築、最適化、管理をうたう。 DeepSeek-R1の開始、モデルの微調整、Azure Developer CLIやVisual Studio Codeの利用が並ぶ。

AWSはSageMaker AIを中心に、学習からデプロイまでのライフサイクルを支えるとしている。 Deep Learning AMIやContainers、MLflow、HyperPodやVisual Studio Code連携が紹介されている。

プラットフォームモデル関連エージェント関連検索・ベクトル設計・ノーコード開発・接続
OpenAI APIText, Code, Reasoning, Images, Audio, RealtimeAgents, Tools, Multi‑agent, WebhooksPrompt optimizer, Prompt generationSDKs, CLI, Streaming, WebSocket, Prompt caching
Google Cloud Gemini最新のGeminiモデル, 画像と動画生成, カスタマイズエージェントの管理・作成・共有・実行, Agent Studio, Agent Gardenエンベディング生成, ScaNN, BigQuery, AlloyDB, Spannerノーコードワークベンチ, モデル評価と最適化コネクタ, 直接モデルフック, 事前構成済みソリューション
Azure AI(Foundry)DeepSeek‑R1, モデル微調整Foundryのエージェントサービス, ホストされたエージェントのデプロイAzure Developer CLI, Foundry SDK, MCP Server, Visual Studio Code
AWS(SageMaker など)SageMaker AI, 学習とデプロイDeep Learning AMI, Containers, MLflow, Visual Studio Code, HyperPod

記述の違いが実務に響く場面

ベクトル検索をどこで持つかが前提に効く。 Googleはデータが存在する場所で検索を実行する設計を示し、データ移送なしで類似検索を組み込む像が見える。 OpenAIとAzure、AWSの資料は同様の具体記述が本文に見当たらず、別の保管と連携設計を立てる前提になりやすい。

エージェントの組み立て方も分岐する。 OpenAIはAPIの機能群にAgentsやToolsがあり、アプリ側での制御が中心に見える。 GoogleはAgent Studioやノーコードの操作面を用意し、Azureは開発者ツールとエージェントサービスの両方の記述がある。

リアルタイム性や入出力の経路はユースケースを絞る材料になる。 OpenAIはRealtimeやWebSocket、音声の扱いに触れており、音声対話やストリーミングの前提が整っている。 Googleはサイトやアプリ向けのエージェント型検索のプラットフォームを掲げ、検索体験の構築に言及している。

モデルの選び方も扱いが異なる。 OpenAIはExternal modelsの記載があり、AzureはDeepSeek‑R1の開始や微調整の案内がある。 どのモデルが第一級なのかという前提が、評価、監視、更新の流れを分ける。

用途別にどれを試すかの当たりを付ける

既存のBigQueryやAlloyDB、Spannerにデータがあり、そこで類似検索を実行したい計画ならGoogle Cloudのベクトル検索の記述が出発点になり得る。 エージェント型の検索やパーソナライズに触れている点も要件に合致しやすい。

音声対話、ストリーミング、双方向性を前提にしたプロダクトなら、OpenAIのRealtimeやWebSocketの経路が設計の軸に置ける。 AgentsとToolsの粒度でアプリ側の制御を組み立てる設計が取りやすい。

社内がAzure中心で、IDEやCLIでの一体運用を優先するなら、FoundryとAzure Developer CLI、Visual Studio Code連携の経路を最小摩擦で通せる可能性がある。 ホストされたエージェントのデプロイという記述も、運用面の入口になる。

モデルトレーニングやインフラ最適化の比重が高く、MLのライフサイクルを整備したいならAWSのSageMaker AIが合致しやすい。 Deep Learning AMIやContainers、MLflow、HyperPodなどの周辺も含めて構築できる。

出典

  1. OpenAI API documentation — OpenAI (一次情報)
  2. AI と機械学習 — Google Cloud 製品 — Google Cloud (一次情報)
  3. Azure AI サービス — Microsoft (一次情報)
  4. AWS 機械学習(Machine Learning) — Amazon Web Services (一次情報)